1.プロダクションの選び方


@プロダクションの数

日本には芸能プロダクションが何社あると思いますか? 劇団や養成所などを含めて、業界の標準である「芸能紳士録」に掲載されているものだけでも約2000社、記載されていないものを含めれば3000社から4000社ある言われています。なぜ、そんなに多くのプロダクションがあるかと言いますと、芸能プロダクションというものは税理士事務所や弁護士事務所のように資格がなければ開業できないという職種ではないからです。極端な話、あなたが今、「プロダクションを開業しました」と言えば、それでプロダクションが誕生するのです。(最近ではインターネットによる実態のないプロダクションが、ここ数年の内に次から次へと誕生しています。)ということは、プロダクションと言う業種事態にかなりの危険性があると言えます。何の資格もいらないと言うことは、どんな人がどんな目的で経営しているのかが判らないからです。ですから、スカウトされたからと言って、すぐに契約するのは危険です。一度契約書にサインしたら身動きが出来なくなってしまいます。まず、名刺を貰って、その名刺を元に、いろいろとそのプロダクションについて調べて下さい。もし、一般書店で販売されている「マスコミ電話帳」か「デビュー」という雑誌に掲載されているプロダクションであれば、出版社の厳しいチェックが入っていますので、ほぼ安全と言えます。(他のオーディション雑誌の募集情報の中には、危ないプロダクションもかなり含まれています。)それ以外の方法は、今ではインターネットという有益な検索システムがありますから、その会社にについて念入りに調べることが必要です。プロダクションとは名ばかりで、母体は不動産業者だったり、キャバクラ斡旋業者だったり、ライブチャット業者だったりと様々です。(補足:モデルエージェンシーの場合は有料職業の斡旋ということで労働大臣の認可が必要。)

Aお金を要求するプロダクション

もし、あなたがプロダクションに入るのにお金を要求されたとしたら、そのプロダクションはやめた方がいいと思います。考えてみて下さい。プロダクションはタレントを使って収益を得るのです。どうしてタレントがお金を払わなければならないのでしょうか? プロ野球の選手が球団に入るのにお金を払いますか? コーチからトレーニングを受けてレッスン料を払いますか? 払いません。逆に所属時に莫大な契約金を貰っています。一年間一試合も出場しなくても、チームの利益に何の貢献しなくてもです。規模は違えども原理は同じです。もし、お金を払わなければ所属出来ないとしたならば、あなたはそのプロダクションに本当に必要とされていないということです。もし、本当に必要ならば逆に契約金をくれるはずです。プロモーション費用とか何とか言ってお金を徴収し、実は社長の生活費になっていたという話はよくあります。つまり、その手のプロダクションはタレントに仕事を与えて収益を得るよりも、タレントから登録料やマネージメント料、レッスン料を徴収することによって、経営を成り立たせているのです。また、審査料などと言って、応募者するだけでもお金がかかるケースもあります。 (補足:プロダクションがその志願者を売り出す為に、明確で具体的なプロモーションの実施計画がある場合は、「協力費」としてお金を提供することが良い結果を生むこともあります。但し、そのリスクはやはり、プロダクションが負うべきだと当社は考えます。)

それから、所属時にはお金がかからないけれど、辞める時にお金を取ろうとする悪徳プロダクションも存在しますので注意が必要です。その手のプロダクションの常套手段は、所属契約というものは本来、「1年しか法的に有効でない」ものを、3年とか5年という長期の契約をさせて、出来るだけ長い期間、タレントの拘束を画策します。人間には相性というものがありますから、良かれと思って入った事務所と相性が合わないケースもあります。相性が悪ければ絶対に成功しませんから、その事務所からは出来るだけ早く、見切りをつけて辞めるべきだと思います。契約は本来、1年しか有効ではありませんし、(プロ野球の複数年契約とは根本的に仕組みが違います。未成年者の人生進路を、何年にもわたって拘束することは社会的にも問題ありです。)、事務所側が契約上の義務としての仕事を与えなかったり、労働の対価として報酬を与えなかった場合、そのタレントから辞意の申し出があれば、事務所はそれに応ずるべきです。ところが、この手のプロダクションは辞める事を容易に認めず、「辞めるならば違約金を払え」、と法外な違約金を請求します。相手は芸能界や法律の知識の乏しい素人、一方はこういう事にかけては百選練磨の狡猾者。結局は裁判やいやがらせが怖くて、辞める側がお金を払ってしまうケースも少なくありません。ところが、この手のプロダクションが弁護士をたてて告訴するケースは殆どありません。弁護士費用がかかるし、まともに裁判をやっても勝てないからです。(形式的に出頭手続きを取る事はありますが、支払い命令が下る事はまずありません。損害を証明出来ないからです。)常套手段としては内容証明郵便を何度も送り付け、「裁判をやるぞ、覚悟しときな。」と脅かし、その過程の中でお金を取るというやり方をします。実際、あるプロダクションの社長などは、「○○からは○○万円取った、○○からは○○○万円取った。」と自慢しているように話していました。このようなプロダクションは実在しますから、本当に注意が必要です。

B裸にしようとするプロダクション

もし、歌手を目指す人が裸になったら、その人の歌手生命は基本的には終りと思って下さい。裸が売りのタレントということで、音楽業界ではまず評価されないからです。もし、あなたが所属しようとするプロダクションに裸を売りにするタレントがいたら、いずれあなたも遅かれ早かれ、その方向に導かれると思っていいでしょう。なぜなら、プロダクションにとって、裸になれるタレントは稼ぎがいいからです。あなたが裸を売りにしたいのなら別ですが・・・。もし、所属前にカメラテストとかなんとか言われて水着になるように言われた場合は要注意です。相手は百戦錬磨の強者ですから、うまい口車に乗せられて裸の写真を撮られてしまい、その写真を楯に身動き出来なくなってしまうこともあります。

Cプロダクションの規模

身分的な規模で言いますと、株式会社、有限会社と言った法人が業界的には有利です。個人事業でもプロダクションは可能ですが、対外的には信用が落ちます。それで、本当は法人(会社)ではないのに法人のふりをする幽霊会社、ペーパーカンパニーのプロダクションも意外と多いです。(完全に法律違反です。)あなたが所属しようとしているプロダクションが幽霊会社ではないかどうかは、会社の身分証明書である登記簿謄本を見せてもらえばわかります。あるいは事前に、その会社の所在地の法務局に行って、登記簿謄本が取れるかどうかを試してみると良いでしょう。登記簿謄本には、代表取締役(社長)の本名や本籍、役員や監査役の名前が明記されていますから、契約上のトラブルなど、いざと言う時にも役に立ちます。もし、あなたがスカウトされて入ろうとしているプロダクションが、聞いたこともない会社(東京商工リサーチにも掲載されていない)であった場合、その会社の存在確認を上記の方法(法務局に行く)でおやりになる事を勧めます。幽霊会社は実体がありませんから、当然確定申告をしていない訳で、従って税金を納めていません(納めようがありません)。ですから、そのプロダクションが幽霊会社の場合、運営している人は「脱税者」と言う事になります。脱税は犯罪行為ですから、それに加担すれば一緒に処罰される事にもなりかねません。

それから、法人としての規模以外には、社員やスタッフの数があげられます。最小の規模はスタッフなしの社長(個人事業の場合は代表)一人、というケースです。ただ、これが一概に悪いとは言えません。このケースでも成功する例は多々あるからです。但し、一般的に言って規模の小さなプロダクションはコネクションや情報網が乏しく、タレントにとっては不利です。ただ、大きなプロダクションはタレントの数も多く、タレント同士の競争も激しいので、その競争に勝たなければならないので大変ではあります。理想的にはスタッフが多くて、タレントの数が少ない少数精鋭(新人をやたらと入れない)のプロダクションがタレントにとってはベストと言えます。スタッフが少なくてタレントが多いプロダクションは、一人一人のタレントにマネージメントが行き渡らず、薄利多売で会社が儲かることはあっても、タレント個人が成功する可能性は低いと言えます。このような、薄利多売のプロダクションは大抵、入所するのにお金を要求します。

Dプロダクションの方向性

プロダクションがあなたに対して、どのような方針を持っているのかは非常に重要です。芸能の仕事は大きく分けて3つあります。1つは歌手を含めた音楽業界、1つは演技をする役者(俳優)、もう1つはバラエティー(お笑い、MCなどを含めたおしゃべり)です。細かい分類をすればまだありますが、基本的にはこの3つです。この3つのどれに向かってどのようなプロモーションを考えているのか、担当者によく聞いてみて下さい。もし、明確な答えが返ってこなかったならばあまり将来は期待出来ません。あなたはグラビアアイドルなどとしてもてはやされ、やがて消えていく使い捨てタレントになってしまう可能性があります。何故かと言いますと、グラビアアイドルの殆どは実は使い捨ての要素が強いのです。一般的にマネージャーにとってグラビアというのは営業が容易で、そこそこルックスが良ければ載せてくれる雑誌は多いからです。順番としては、制服や水着で雑誌に出て名前を売り、その後アマチュアカメラマンを対象とした水着撮影会にどんどんに出てプロダクションに収益をもたらし、人気がなくなったらそれでおしまい、又はその後は裸で行きましょう、というパターンです。グラビアというものは将来を見据えた上での通過点としての戦略がプロダクション側にないと、タレントの鮮度が失われて行くだけのマイナス要素が強いのです。(グラビアは出る雑誌によってランク付けされ、ルックスだけが勝負ですからすぐに飽きられてしまいます。飽きられるということはタレント生命の終りを意味します。)もし、あなたが歌手志望であれば、プロダクション側に音楽的なブレーンがいるかどうかも重要なポイントです。プロダクションにはそれぞれ得意、不得意な分野があります。自分が志望する分野が得意なプロダクションかどうかを見極めることも志願者には必要です。

Eプロダクションの所在地

以外と見落とされやすい選考項目に、「プロダクションの所在地」が上げられます。先にも書きましたが、現在はインターネットの発展により、誰でもネット上のバーチャルプロダクション(チャット、撮影会等が中心)を立ち上げる事が出来るようになりました。そして、そのようなプロダクションも、オーディション情報サイトで「タレント募集」をしています。参考の為、時々オーディション情報を出している会社の概要を見てみますと、中には「この場所で芸能プロダクションはないだろう」という位、辺ぴな場所に所在している事務所も少なくありません。おそらく予算の関係で自宅を事務所にしているか、前進の別会社の所在地を使っているのでしょうが、プロダクションとしての機能を充分に発揮させる為には不十分です。やはり、プロダクションはテレビ局や出版社等のマスコミ各社の近くにあるのが望ましく、しっかりとしたプロダクションは必ず、適切な地域に事務所を構えています。志願者が参考にする目安としては、まず東京都港区、次は渋谷区、目黒区、品川区、千代田区、中央区、新宿区、豊島区、といった所です。それ以外の区や地域は、住宅としては良いかもしれませんが、プロダクションとしてはあまり適しません。